リノベーションは、中古住宅を新しい住まいにするという方法でもありますが、ときに夢だったことを叶えるという役割も果たします。人生において、結婚や子育てというイベントを経てそれまでのライフスタイルが変化することもあるでしょう。そしてそれが一段落ついたときにまた時間が持てることで新たな目標ができることもあるかもしれません。あるいは、ずっと持ち続けていた夢を叶えるためにそれまでとは違う道へ踏み出すきっかけとなることもあります。今回ご紹介するのは、インナーガレージをハーブショップへとリノベーションした物件です。FRCHIS,WORKSが手掛けたこのリノベーションは、コンパクトなスペースを利用し新しい道へと導くきっかけを生み出しました。
入り口は木製のドアと換気もしやすい大きな窓が設けられ、まるでカフェのような温かみを感じるエントランスへとこのリノベーションによって生まれ変わりました。もともとの外装だった板貼りの雰囲気と、木製のドアの雰囲気が調和をはかり、もともとそこがガレージだったとは感じさせない自然な仕上がりとなっています。ガラスから漏れる灯りが優しい雰囲気を演出し、思わず訪れて見たくなるような魅力的な外観となっています。
もともとはガレージとしてつくられた場所だったため、内装は特に施されず、石膏ボードそのままの壁面とコンクリートの床が冷たい雰囲気を感じる場所でした。
内部はブラックウォルナットのフローリングが採用され、落ち着いた木目と色がモダンでシックな空間となっています。壁面は漆喰で仕上げ、内部の収納はオリジナルで大工制作によるものです。自然素材の持つ風合いと温かさがこの空間をより上質なものにし、訪れるゲストがほっとする時間を過ごすことができるようになりました。陳列棚には数々のハーブが並び、自分好みのブレンドをオーダーすることもできます。大きな窓や照明によって、ガレージ独特のちょっと暗い雰囲気ががらりと変わった明るい空間で、ゲストを迎えやすい雰囲気になっています。
石膏ボードの素のままだった内装と、ガレージの限られた開口の大きさがどこか窮屈な印象を与えるエントランスでした。コンクリートの占める固く冷たい印象が強く、温かさは感じない雰囲気です。
エントランス側の窓の他に、併設されたキッチン側の窓と合わせて多方面から光が入るようになり、明るさと開放感を確保できるようになりました。エントランスの窓際へはウェルカムボードを置いてゲストを心地よく迎えることができるような入り口へと姿を変え、元のガレージのどこか閉塞的な雰囲気は全く感じさせません。大きなキッチンや、休むことのできる家具もあり、ハーブティーで一息つきながらご近所の方々やハーブが好きな方が集うコミュニティともなる空間になっています。自身の趣味や特技を生かし、人と人をつなげることや、誰かの役に立ち幸せを提供できることは人生においてさらなる豊かさをもたらすこととなるでしょう。コンパクトなスペースから人生の歩みを変えることができるようなリノベーションは単に建物が綺麗になるということだけではない喜びがあります。